剣道で使う「脇構え」の解説
――守備と反撃を両立する基本の構え――
剣道には多くの構え(かまえ)がありますが、「脇構え(わきがまえ)」は攻撃と防御の両方に使える戦術的な構えとして知られています。上級者だけでなく、初心者でも正しく身につけることで試合や稽古での応用力が格段に上がります。ここでは、脇構えの特徴、基本動作、使い方のポイントを詳しく解説します。
■ 1. 脇構えとは?
脇構えは、竹刀を体の脇に下げ、刀先をやや斜め下に向ける構えです。
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体の中心線を意識して構えるため、相手の攻撃を受け流しやすい
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正しい位置に構えることで、突きや打ち返しなどの反撃に移行しやすい
脇構えは防御的に見えるものの、実際には攻守の切り替えが素早くできる万能型の構えです。
■ 2. 脇構えの基本姿勢
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足の位置
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左足を前、右足を後ろに置き、肩幅よりやや広めに開く
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体重は左右均等またはやや後ろ足寄りにかける
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竹刀の持ち方
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両手で竹刀を握る
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竹刀の先端は相手の面下~胸元に向ける
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肘は軽く曲げ、脇を締める
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体の角度
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上体はやや前傾
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肩の力は抜き、リラックスした状態を保つ
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ポイント:肘や肩の力を抜くことで、相手の打ちに素早く反応できます。
■ 3. 脇構えのメリット
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防御力の向上
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面・胴・小手への攻撃を受け流しやすい
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脇の下で竹刀が安定し、突きに対するガードも可能
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反撃の自由度
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打突や突きに瞬時に移行できる
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相手の隙を見つけて攻撃しやすい
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疲れにくい
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体に無理のない力の分散ができ、長時間の試合でも疲れにくい
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■ 4. 脇構えの使い方・応用
(1) 防御からの反撃
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相手の面や小手の打ちを脇構えで受け止める
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そのまま竹刀を振り上げて面打ちや小手打ちに移行
(2) 攻撃への切り替え
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相手が油断して前に出た瞬間、脇構えからの突きや面打ちで攻撃
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身体の重心を前後に移動し、瞬時に前進や後退に対応
(3) 相手の心理的プレッシャー
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脇構えは攻撃的ではない構えのため、相手に「隙がある」と思わせやすい
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その心理を利用して、反撃のタイミングを作る
■ 5. 練習のポイント
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鏡や動画でフォーム確認
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脇の締め方、竹刀の角度をチェック
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基本打ちと連動させる
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素振りで脇構えから面打ち、小手打ち、突きへの切り替えを反復
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スピードより正確性
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初心者は特に、構えの形を崩さず正確に動けることを優先
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呼吸とタイミングを意識
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攻防の切り替えで呼吸が乱れないよう、稽古の中でリズムを体得
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■ 6. 脇構えの注意点
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脇を閉めすぎると腕が動かしにくくなる
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竹刀を下げすぎると反撃のタイミングが遅れる
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前傾姿勢が強すぎるとバランスを崩しやすい
正しい姿勢を意識して練習することで、脇構えは攻守両面で非常に有効な構えとなります。
■ まとめ
脇構えは、守備だけでなく反撃や攻撃への移行もスムーズに行える、剣道の基本かつ応用力の高い構えです。
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肘を軽く曲げ、脇を締める
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竹刀の先は相手に向け、体重を均等に分散
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攻守の切り替えを意識して稽古する
初心者から上級者まで、正しい脇構えを身につけることで、試合や稽古でのパフォーマンスが格段に向上します。