バーチャル株主総会の議事録はどう書く?オンライン開催時の法定記載事項と注意点
近年、場所を問わずに参加できる「バーチャル株主総会」を導入する企業が急増しています。しかし、オンライン開催には、従来の対面型総会とは異なる**「特有の法定記載事項」**があることをご存知でしょうか。
法務局への登記申請において、オンライン開催の事実やその方法が正しく記載されていないと、議事録の不備として受理されないリスクがあります。
この記事では、ハイブリッド型(対面+オンライン)やバーチャルオンリー型における議事録の書き方と、会社法施行規則に基づいた注意点を詳しく解説します。
1. オンライン開催時に必須となる「追加の法定記載事項」
会社法施行規則第72条により、株主総会に「出席していない取締役や株主が、インターネット等を利用して参加・出席できる」ようにした場合、その具体的な方法を議事録に記載しなければなりません。
① 開催場所に関する記載
物理的な会場がある場合(ハイブリッド型)は、その会場の住所を記載した上で、オンライン参加の方法を併記します。
例:「当会社の本店会議室において開催し、あわせてインターネットを利用したリアルタイムのビデオ会議システムによる配信を行った。」
② 通信環境と出席方法の具体例
どのようなシステムを使用し、どのように本人確認や採決を行ったかのエッセンスを盛り込みます。
通信方法の種類:Zoom、Microsoft Teams、専用の株主総会プラットフォームなど(具体的な製品名までは必須ではありませんが、「ビデオ会議システム」などの種別は明記します)。
通信の安定性に関する報告:通信障害が発生しなかったこと、または発生した場合の対処について一言添えるのが実務上望ましいとされています。
2. バーチャル株主総会の議事録:文例ガイド
法務局の審査をスムーズに通すための、具体的な記載例をご紹介します。
ハイブリッド参加型(対面+オンライン)の場合
場所: 東京都〇〇区〇〇 〇〇株式会社 本店会議室
(場所の記載に続けて)
本総会は、上記場所において開催するとともに、会場に足を運ぶことが困難な株主のため、インターネットを利用したビデオ会議システムにより、リアルタイムで審議を視聴し、かつ発言および議決権行使ができる方法を併用して開催した。
バーチャルオンリー型(会場なし)の場合
※2021年の法改正により、上場企業等で一定の条件(定款変更等)を満たせば会場を設けない開催が可能になりました。
場所: 本総会は、場所の定めのない株主総会として開催した。
通信方法: 本総会は、インターネット(専用プラットフォーム「〇〇」)を利用した非対面方式により執り行い、議長および出席取締役は各自の所在場所から通信設備を通じて参加した。
3. 登記申請時に法務局がチェックする3つの注意点
オンライン開催特有の「落とし穴」に注意しましょう。
注意1:通信障害が発生した際のアピール
もし通信トラブルで一部の株主が遮断された場合、それが「決議の結果に影響を及ぼさない軽微なものだったか」が重要です。議事録には「通信は概ね良好であり、決議は適法に成立した」旨を記載し、正当性を主張します。
注意2:出席役員の「所在場所」
役員もリモート参加する場合、議事録には「出席取締役:〇〇(ビデオ会議システムにより参加)」と記載します。議長がどこから議事を進行したかを明確にすることが、手続きの透明性を担保します。
注意3:議決権行使の集計方法
オンラインでの事前行使と、当日参加者による行使をどのように合算したか、計算のプロセスに矛盾がないよう、出席株主数と議決権数を精査して記載してください。
4. まとめ:デジタル時代の議事録作成
バーチャル株主総会は、場所の制約をなくす便利な仕組みですが、議事録作成においては「IT手段の適法性」を証明する役割が加わります。
「インターネット等を利用した開催方法」を具体的に明記する。
ハイブリッド型かオンリー型かに合わせて、場所の記載を使い分ける。
通信の安定性と決議の有効性を、文面でしっかりと残す。
これらを守ることで、オンライン開催であっても法務局での登記申請を迷いなく完了させることができます。
株主総会議事録のひな形と作成ガイド:法務局基準の登記申請対策